君が 好き



まだ夕方の七時だというのに外は暗くなっており、月の明るさを際立たせていた。そんな中、泥門高校のアメフト部の部活が終わった。





制服に着替えたセナが、俺、十文字一輝の方に向って笑顔で走ってきた。


「十文字くん、お待たせっ!」

「んじゃ、帰るか」


とっくに着替え終わってイスに座っていた俺も、荷物を肩に背負って立ち上がった。


最後になった俺らがカギを掛けて部室から出る。そんでいつもと同じコースを通って帰るのが日課だ。

あ〜、俺とセナがどうして一緒に帰ってるのかっつーと。


……付き合ってるから、だ。


一ヶ月前セナが俺に告白してきて。

ビビッたけど…俺だってずっと前からセナが好きだったからすっげぇ嬉しくて。

俺の気持ちもちゃんと伝えて。すぐ付き合うことになったんだけど…。



俺の左隣を歩いているセナをチラリと見る。


何つーか、最近のセナますます可愛くなってねぇか…?

正直、直視できねぇくらい、可愛い。

目なんかめちゃくちゃでかくて。 まつげも長ぇし。 小さくて、細くて。 あんだけ外で運動してるにも関わらず色が白ぇし。


とまぁ、まだまだ可愛いところは沢山あるけど。

とにかく、本気で可愛すぎんだ、コイツ。



つーか、セナの可愛さも問題なんだけどよ……。


今 俺はそれ以上に悩んでることが、ある。


それは…その……なんだ……。





………まだ、セナに全然手ぇ出せてねぇって、こと、だ…。





一緒に登下校はしてっけど。実はまだ手さえもつないでねぇ。


そりゃ、セナの体には、すげぇ触れてみてぇと思う。


キスだって すっげぇしてぇけど。


キスしたら、セナの体に触れたくなっちまう。それ以上のことだってしたくなる。



一応、俺も健全な男子高生なわけだしよ。



セナを抱きてぇって思うし………実際、頭ん中で何度も何度もセナを抱いてる。


でも、ちょっとでもセナに触れると、タガが外れちまいそうで。


現実は厳しくて。付き合い出して一ヶ月も経ったっつーのに今だキスもできてねぇ。

自分でも何やってんだとは思うけどよ。

もしセナに嫌だと言われたら……やっぱ辛いだろうからな。

少しだけため息を吐いてみる。



……でも、自分でも解っちゃいるんだ。


我慢の限界が近づいてるっつーこと。


いや、とっくに我慢の限界なんか過ぎちまってるかもしんねぇけど。


とにかく、そろそろセナにキスをしねぇと、俺は近い内にセナを襲っちまう自信がある。




何でこんなに好きなのかって不思議に思うけど。


好きなモンはやっぱり好きで。


どんなに色んなこと考えようと、結局辿り着くのは、セナが好きっつー結論なんだよな。








ふと、セナの顔が何やら赤くなってるのに気付いた。


どうかしたのかと思って俺がセナに話しかけるより先に、セナが口を開く。


「じゅっ、十文字くんっ」


どもりながら俺に話しかけてきたセナの顔はすげー真っ赤になっちまってる。



いや、んな顔すんなっつーの。



襲うぞ、マジで。



「ん?」



「あ、あのっ…て、てっ…手つないで、いい?」


セナのその言葉に、本気で驚いちまった。

人生でベスト5に入るかもしれねぇ、なんて、くだらねぇこと考えたりして。


告白された時も思ったけど、セナが んな事言うなんて思ってもみなかった。

つーか、セナは好きなやつがいても絶対ぇ自分から告白しねぇんだろうな、とか思ってたから、余計驚いた。

ま、すげぇ緊張してんなーっつーのは、毎回セナの顔を見れば一目瞭然だけどな。


「べ、つに…いいけど…」


違う。そんな答えは、違う。


本当は…本当は俺もずっと触れたかったんだから。


嬉しい反面、手をださねぇようにしなきゃなんねぇから、ちょっと複雑だけどな。


でも、OKを出した瞬間、セナの表情がパッと華やいだから。


「本当っ!?ありがとうっ」


そう言って嬉しそうに笑うから。


だから俺も、すげぇ嬉しくなってくる。


こういう時、セナに好かれてると感じられるのは、マジ嬉しいんだ。







一しきり喜んで俺に礼を言った後、セナはおずおずといった感じに俺の手を握ってきた。


…う――わっ――///


セナが触れてきた瞬間、セナの体温が感じられて。俺の心臓が激しく脈打った。


心の準備はしといたものの。




心臓、壊れるかと…。




ぎゅっとしっかりセナの手を握ってやると、セナは驚いたように俺を見上げて。はにかむように、笑った。


――ったく、反則だっつーのっ///


セナの全てがどれだけ俺を煽ってっか知んねぇだろ…。

傍から見ても、セナは本当に嬉しそうにふわふわ笑ってる。

頬をピンクに染めて。口元を緩ませて。


「十文字くんの手って、おっきいね」


にっこりと俺の方を見上げて笑うセナは、もう犯罪的だと思う。



すっげぇ クラクラする。



もう駄目かもしんねぇと思った瞬間。





ピトッとセナがくっついてきた。密着、と言った方が絶対ぇ正しい。


俺の腕に頬を摺り寄せて。恥ずかしそうに俺を上目使いで見ながらも、心底嬉しそうに微笑んだ。












ぷつん、と。











何かが切れた音がした。





















理性が。



















飛んだ。
























細い路地にセナを引きずり込んで壁に押しつけて唇を奪った。


「え…んんっ!?っん〜っ///」


いきなりのディープキスに驚いてるのか、セナは必死で抵抗してきた。

でも、そんなセナの抵抗なんか、俺にとっては有って無いのと同じくらい弱ぇモンで。

軽く力を入れただけでセナは動けなくなってる。


「駄目だ。逃げんな」


抵抗させる気力さえも奪いたくて、思う存分舌を絡め取る。

それと同時にセナのシャツの下に俺の手を進入させる。


ずっと触れてぇと願ってたセナの肌は、ずっと頭ン中で考えてたセナよりもめちゃくちゃ気持ち良かった。




しばらくキスを続けてると、セナの手が俺のシャツをぎゅっと握った。


小さく震えているけど、セナも俺を欲しがってくれてるっつーことは解った。


うっすらと目を開けてセナを見ると、うっとりとした表情をしてた。


その顔を見るだけで俺の下半身はやばくなっちまって。










欲しいと。










思った。








チュ、と頬にキスを落とした後、セナの体を這いずりまわる手を止めないまま耳元に囁いた。



「な、セナ。今から俺ン家来いよ。」



「え?」


まぁ、そんな遠まわしな言い方じゃセナに伝わらねぇのは予想の範疇だ。

耳たぶを舐め上げ、ふっと耳に吐息をかけた。






「…しよぉぜ?」






切羽詰まってる俺の声は、欲望を露わにしてて擦れていた。


「っ//////!?」


驚きで顔を真っ赤にしたまま口を開けているセナ。




――喰っちまいてぇ。




再び唇を塞ぎ、セナが考える暇を与えねぇように口内を侵してやると、すぐにセナの表情はトロンとして来た。


「セナを…抱きてぇ…」


そう言うと、セナはピクッと反応した。


「俺ン家、来るだろ?」


返事を求めるような問い掛けをしたのは俺なのに、返事をさせないようにセナの唇を奪う。

早く返事が欲しかったが、それ以上にまだセナを味わっていたかった。




そっと唇を離して目でセナの答えを促すと、少しだけ躊躇が見られた後、こくん、とセナは頷いた。





めちゃくちゃ、愛おしい…。








答えをもらうと同時に、セナの腕をひっぱってわき目も振らずに歩きだす。


会話らしい会話もしないまま家に着いてしまったが、そんな事に構っている余裕もない俺はすぐさま自分の部屋にセナを連れこんだ。


ドアを閉めてる時間も惜しくて部屋に入るなり抱きしめて深いキスをした。

後ろ手でカギを掛け、キスをしたままドアの近くにあるベッドに押し倒す。

そのまま溺れるようにセナのキスを感じていると、苦しいのか、セナが弱々しい力で俺の胸を押し返してきた。


「あ、悪ぃ…」


自分の思い通りにしかしてなかったことにちょっと罪悪感に苛まれ、少しだけセナを抱きしめる腕の力を抜いてやる。


大丈夫か、と伺うようにセナを見ると、セナはくすくすと笑いながら俺の首に腕を絡めてきた。








「好き。十文字くんが、好きだよ」








――ドクンッ。









何回 俺の心臓  壊す気だよ…。







天にも上る気持ち、っつーのが、初めて理解できた。












「…俺も…」












セナの笑顔につられて俺もふっと笑う。




そして、再び。ゆっくりと、セナに唇を落としていった。























甘い、甘い……夜の始まり――。






〜 fin 〜
甘〜〜〜い!!甘っ、何じゃコレっ、うわってか、とにかく甘っ
え〜、初十セナですvv
蓮根が、「私が絵文字を作成している間に花蘭も何か作れ」と言われたのがきっかけでありましてιι
その後2時間半で完成。
うわ、私、すごいなぁvv(痛っ、石を投げないでくださいっΣ)
もんじは切れたら力の限り突っ走りそうですよねぇvvまぁ、若いですしvv
そんなこんなで楽しんでいただけたら幸いですvvコメントなどいただけると空も飛びます(笑)
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