たとえ全てを失っても


「…ん……まだ寝る……」


ベッドに横たわるコータローの肩をゆすると、力ない声でそう返ってきた。

大抵僕は、コータローよりも先に目を覚ます。
せっかくなので今日は、いつもは取らない朝食を2人分作った。

部屋を行き来する物音や、香ばしく焼けたトーストの匂いでは、コータローは起きてくれなかった。


「遅刻するわけにはいかないだろう」
「…るせー…」


フーと溜息をつき、仕方なくコータローを包んでいる毛布を剥ぎ取った。
コータローは少し縮こまってから、観念したのか、ようやく起き上がった。

「………今何時?」
「7時15分。早く風呂に入れ」
「おー」





シャワーが勢い良く流れる音が聞こえる。鼻歌も聞こえる。

昨日もコータローが何度か口ずさんでいた。確かこの間のドラマで流れていた曲だったな。


今度はあの曲を弾いてみようか。

朝ご飯の支度も終えたので、イスに腰掛けギターを膝の上に乗せる。
思い出しながら、早速サビの部分を弾いてみる。

単調なせいか、意外と簡単に弾く事が出来た。


これをアイツの前で弾くと、怒りながら必死に止めに来るのだろうなと思い、口元が緩んだ。



「うおーっ!!」



突然風呂場から絶叫が聞こえてきた。

僕はギターを立てかけ、風呂場へと急ぐ。そして、ドア越しのコータローのシルエットに問いかけた。


「コータロー。どうかしたのか?」
「あ!赤羽っ!!せっ…背中に何かいるっ!!取ってくれ!!」


扉を押し開け、コータローが指差す方に目をやると、小さなクモが1匹付いていた。


「コータロー、安心しろ。ただのクモだ」

シャワーを手に取り、動けずに固まっていたコータローの背中の虫を流してやった。


「クモ?マジかよ?ったく!マジびびったっつーの!」

流れていくクモを目で追いながら、コータローはブツブツと文句を吐いた。



「大変お騒がせいたしま……んっ!!」


僕は、振り向いたコータローの腰を取り唇に吸い付き、そのまま床へと押し倒した。





コイツの身体は僕にとって半端ない凶器だった。

身体にフィットするユニフォームなどは、よりそのラインを強調させ、僕の心を惑わせていた。





そんな身体を生で見せ付けられて平気でいられる程、僕の頭は上手く出来てはいない。


何も身に付けていないコータローの火照った身体に───僕は"理性"と言う単語をしばらく忘れた。










舌先で唇をこじ開け、奥へと侵入する。

初めて味わうコータローの口内に、更に気持ちは高ぶった。


「っ…ばっ…やめっ…」


手足をバタつかせながら必死で抵抗するコータローも、僕の前では無力だ。

両腕を片手で押さえ身体で身体を固定すると、ほとんど身動きが取れなくなる。


少しおとなしくなったのを確認してから、湯気でしっとり濡れた首を舌でなぞった。


「っあ!!赤羽!何すんだよ?!んっ!!」


空いている手で胸部を撫で、腹部を撫でそっと陰毛に指先を絡めたところで、コータローの抵抗が再び激しくなった。


「ちょっ!やめろ!ドコ触ってんだよ?!」

「好きだ」

「!」





コータローの動きが一瞬止まった───僕は止まらなかった。





流れるまま手を滑らし、局部を柔らかく包み込む。


「おっおい!やめろ!やめ…うっ……!」


2、3度擦りあげると、ソレはすぐにカタチをハッキリさせた。

首から鎖骨へと舌を這わし、胸に3箇所跡をつけ、辿り着いた胸の先端で舌先を遊ばせる。


「っはあっ!…んんっ…」

「ココを舐められるのが好きなのか?それとも下?」

「んっ!あ…あっ…んっ!」


少し愛撫しただけで、コータローの抵抗は全く感じられなくなっていた。

それどころか、催促するかのように、足を僕の腰に絡めてきた。



両手を押さえていた手を背中に回し、コータローを壁にもたれかけさせる。



「あ…かば…」



うつろな瞳で僕を見つめるコータローにもう一度口付ける。



今度は先程よりも優しく、丁寧に───



角度を変えると、コータローの舌が口内に進入してきた。その舌使いの上手さに驚かされる。

それと同時に少しショックを受けた。




───自分が初めてではない───




僕は手が止まっているのに気付き、再度動かし始めた。


「っあ!んっ!…はっ!」


それでも浴室に響く吐息交じりの声に、僕の局部も反応せざるをえない。

誰が見てもはっきり分かるくらい、ズボンがソレで押し上げられていた。





不意にコータローが僕のベルトに手をかけてきた。

あっという間にボタンも器用に外され、チャックがゆっくりと下ろされる。


僕は思わずキスを中断し、コータローに目をやった。


先程と同じようなトロンとした目のまま、コータローは口角だけを少しあげた。





トランクスが下ろされ、張り詰めた部分が露になった。

ソレはそのままコータローの手にわたり───ゆっくりと扱かれだした。


「…っ?!コー…タロ…っ!!」


思ってもみなかったその行為に、一瞬意識を持って行かれそうになった。



返す様にモノを握り直し、少しひねりを加えて上下に揺らす。

その度にコータローの手も、弱まったり激しくなったりと繰り返された。





その不規則なリズムがたまらなく快感で───





腕の疲れなど忘れ、夢中で動かした。





段々コータローの喘ぎ声に余裕が感じられなくなり、焦点も合わなくなってきていた。

ビクンと1度大きく身体をはねさせ、コータローが僕にしがみ付く。


「んんっ!!っ!んっ!んっ!!」


僕の鎖骨に唇を押し当て、コータローが吐息をもらす。




その感じている声が聞きたくて、僕は少し体を離した。


「うあっ!はっ!あっ!あっ!」


手離された自分の性器を、コータローのモノと一緒に握って動かす。


自分の手の動きと同調して漏れるコータローの声に、僕は相当参っていた。



お互いの先走りでベタベタになったペニスは、合わせて擦ると一段と感じた。

先を擦り合わせ、さらに互いの性器を塗らす。



背中に回ったコータローの指に段々と力が入ってくる。

コータローの限界と同じく自分の限界を感じ、上下に擦る手をさらに早めた。





「はっ!はっ!俺っ…も…ヤベェ!…あっっ!ぁあああっ…」


「くっ!…僕も…そろそろ…限界だ…ふっ!!…あっ!!」





コータローのモノがドクンと何度か脈打ち、腹と僕の手の中に精液が流れ込んできた。





それからすぐに自分の頭も真っ白になり、コータローの肩まで欲望を飛ばした。










コータローに体重を預け、呼吸を調えながら考える。



コイツは僕のことが大嫌いなハズなのに、なぜ…?

あれこれ考えても、コータローの気持ちは理解できなかった。





「コータロー…好きだ…」





耳元でそう囁いて、赤みがかった頬にキスを落とした。










これからどうなるのか考えると少々恐怖を感じる。





僕の気持ちに応えてくれるかもしれない。

前よりさらに関係が悪化するかもしれない。





それでもこの想いは…コータローのことを愛しいという想いは、もう隠す事など出来ないところまできていた。





To be continued...
微エロじゃなくなってゴメンナサイうーん、頭では浮かんでても、言葉にするのは本当に難しい!
そして油断すると赤羽の一人称が「」になってしまう…気を付けなくちゃ!!

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