ありえねーこと

昼休みまであと10分となった教室は、少しずつ音が増えはじめていた。
窓際後ろから2番目に座る黒木は、今日は特に落ち着きがなかった。

教科書を朗読する先生が、後ろから前へ通り過ぎたのを確認すると、黒木は勢い良く振り返った。

「なぁ!オイ!トガッ!!」
「…あ?」

ジャンプを読んでいた戸叶は、イイ所で止められたのか、少し不機嫌そうに顔をあげた。
そんなことはお構い無しとでもいうように、目線は前方に向けたまま黒木の話は続いた。

「なんか、十文字さっきからさァ―――」
「………?」



「―――セナばっっか見てんだけど…」



何かを必死に訴えようとする黒木と、その前の席でセナをボーっと見つめる十文字の横顔とを2、3度見比べる。
それから「あぁ。なんだ」と返し、ジャンプを押さえ付けたままになっていた黒木の手を退かせ、再び読み始めた。

「げっ!フツー!何で驚かねーんだよ!?つーかやっぱ気のせいじゃねーのか!?」
「気付くのおせーんだよ、黒木は。セナと話してる時の十文字見てみ。傑作だぞ」

「…見てぇな、それは…」


授業終了のチャイムが鳴り響き、みな様々に移動し始めた。

「十文字ィ、トガァ、メシ行くぞー」
「「おー」」

黒木がいつものように十文字と戸叶を昼に誘う。
机を片付ける十文字を横目で見ながら、黒木はさらに付け足した。

「あと……セナァ!」

少し離れた位置にいた小柄な少年は、いきなり名前を呼ばれて少し驚いた様子で振り返った。

「一緒に食おーぜ!メーシ!」
「あ、うん、チョット待ってー」

弁当の準備をし始めたセナを確認し、黒木はヨシといった表情を浮かべた。

「ハ。行動派だな」
「モチ!!」
「十文字、間抜けヅラしてたぞ」
「見た見た!傑作その1ィー」

十文字に聞こえないように言葉を交わす黒木と戸叶。
しばらくするとセナが弁当を持ってやってきた。

「ごめん、お待たせ」
「オーシ、屋上行くぞー」



屋上で昼食を取りながら、4人はアメフトの話で盛り上がっていた。
そんな中黒木は、焼きそばパンを頬張ったまま、さっきからずっと固まって動かない。

「……」
「オイ?どした?」
黒木のただならぬ様子に戸叶は気付き、問いかけた。
ハッと我に返った黒木は、焼きそばパンを飲み込んだ。



「……十文字が……キモイんです」



カカカと笑って、思い詰めた様子の黒木の背中をポンポンと叩く。

「ま、いんじゃねーの?これはこれで俺は応援するけどな、十文字の恋」

黒木は納得のいかない顔のまま、あまりにも変わってしまった“キモ十文字”を見なおした。

「セナ、おまえ細すぎだっての」
「ぅぅ…これでも前よりは筋肉ついたんだよー!十文字君程じゃないけどさー」
「実は十文字より俺んがチョットつえーぞ」

十文字とセナの間にひょこっと顔を出した戸叶は、皮肉っぽく笑い挑発的な目で十文字を見下ろした。

「えー!そうなの?」
「はぁ?うるせー!今はもう俺んがつえーよ!」
「ハ。よく言うぜ…なら久しぶりに、やるか?腕相撲」
「ぉ、おー、のぞむところよ!」


自然に、しかも楽しそうに会話に入っていく戸叶に、黒木の頭はさらに混乱した。
もう一度だ!と悔しそうに戸叶に再戦を挑む十文字が視界に入る。

初めて見る十文字の表情やら行動やらのせいで、黒木の眉間によったシワはしばらく取れることはなかった。



「…いや、ぜってーキモイって…」


The End
あーっはっはーっと。ゴメンナサイ。もう、笑いしかでません。ごめんなさい。
誰か視点じゃない小説って難しいね…調子こいてチャレンジして玉砕…といったお決まりパターン( ̄□ ̄;)カプないし…(汗)
えー、これは十文字の恋心に気付いてしまった黒木の悩みなお話。
戸叶はモチロン前々から気が付いていて、慣れてます。ちょこちょこ協力とかしてたりします。
文法とかおかしいのは…ハジメテなので…ゆ、ゆるしてください(汗)
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