ずっとずっと これからも


君だけを 愛し続ける ―――




White lie

-6-




正直、限界にきていた。


体も…… 心も ……。


忘れようとも、した。

他の女の子を好きになれるように、合コンでも何でも誘われるままに行った。

女の子とデートもしたけれど…どうしても、女をバイクの後ろに乗せる気がしなくて…遠出はしなかったけれど。

だから近場で遊んでいたのだが、結果それを同じ大学の奴らに見られてしまって。今噂が広まって結構ウンザリしている。


―― …工藤は…どう思たやろ…


そう考えて、頭を振る。

本人にそう訪ねてしまえば、『よかったじゃねぇか!』と満面の笑みで言われること間違いないだろう。


そんなこと言われたら…自我を保っていられる自信がない。


早く忘れなければと一生懸命、それこそ必死になるくらい努力した。



それなのに。



忘れようと努力すればするほど…それが逆効果にしかならないことを知ってしまった。


何気ない会話の中でも、新一の姿が頭に浮かんでくる。


他の人の笑顔に、新一の笑顔を見てしまう。


目を閉じていても、聞こえてくる新一の声。


平次の日常の中には新一が溢れすぎていて……新一がいない日常なんか、なくて……。




もう、おかしくなりそうだった。




逢いたくて逢いたくて…声が聞きたくて…。




狂おしいほど……愛おしい……。





「服部?」

「っ!!」


呼ばれたことに心底びっくりした。誰もいないと思っていたのに。

もう少しでバイクもろとも倒れてしまうところだった。


「っな、何やぁ、宮城か…脅かすなや…」

「え?あ、あぁ、悪い」


そんなに驚くと思っていなかったのだろう宮城は、平次の驚きように驚いていた。

しかしそれも一瞬のことで…宮城は言いにくそうに平次を見た。


「なぁ、服部?」

「…何やねん…?」


もう大学生はとっくに下校している時間なのに、と首をかしげる。

しかも宮城はバイク通ではないので、どうして駐輪場に宮城がいるのか不思議に思うが、この態度をみると、平次に何か話があったのだと分かった。

そして次の瞬間聞こえてきたセリフに、平次は本気で固まった。


「……お前が元気ねぇのって、フられたからって言ってたじゃん?…でも、もしかして、さ…工藤と喧嘩してるから、とかもあったりする…?」

「っ!?」


どうして、解ったのだろうか。そんなそぶりは見せていないのに。

平次と新一二人が離れていることを気づいたのは、何も宮城だけではない。

いつも一緒にいた二人がこのところ全然一緒にいないどころか、傍に寄ることさえしないのだから。

けれど、二人が離れているのは、二人とも彼女欲しさにちょっとだけ別行動をしようと話になったのだろうというのが、みんなの意見で。

すぐに彼女ができたら、また仲のいい友人に戻るだろうと、そういう考えで。

そうなのか?と聞いてきた友人にも本当のことは言えずに、そうだと頷いておいたのだから、みんなそれで納得しているはずなのに。


「やっぱりそうなんだな…」


平次の態度に確信を得たのか、宮城は苦笑した。

今ならそんなことないと誤魔化すこともできた。


けれど。


本当は、誰でもいいから、聞いて欲しかった。



新一がいなくて……辛いことを……。



長い沈黙の後、平次はため息をついて大きく頷いた。


「ハッキリ、言われてしもたんや…友達やめる、て…」


やめたのは…友達ではなかったけれど…宮城にはそんなこと言えるはずがなかった。

すると、宮城は驚いたような声を出した。


「え?」

「…何やねん?」


宮城の反応に、逆に平次が首をかしげる。


「や、俺てっきり、工藤がお前を怒らせて…それで喧嘩別れしたのかなって思ってたからな…」

「何でやねん?」


どうしてそう宮城が思ってしまったのか全然解らない。


「俺に関わらんよーにしとんのは工藤やで?」


そう、だからこそ、例え二人の異常に気付いたとしても。普通は、平次が新一を怒らせて喧嘩別れしたように見える状況なのに。

そう平次が言うのだが、宮城はなぜか腑に落ちないような顔をしている。

ますます訳が分からなくて口を開きかけた、その時。




「でも、工藤……お前を呼んでたぜ?」



「――っ!?」




電流が、体を駆け巡ったかのような衝撃が走った。



―― …俺を…?…呼んだんか…?



ハッと我に返って頭を左右に強く振る。


「そ…んなワケ…あらへん、やろ…」


だって、新一の本心なら、ちゃんとこの耳で聞いたのだ。

そしてその言葉を裏付けるかのような、新一の態度もこの目でずっと見てきた。

信じようとしない平次に、宮城は眉を顰めて溜息をつき、話し始めた。


「俺、ちょっと前に工藤と飲んでたんだよ。んで、みんなツブれちまって寝てたんだけど、たまたま俺、トイレに起きたんだよな。その時工藤がうなされてたからどうしたのかと思って近づいたら、『服部!』って言って、手ぇ伸ばしてきて、服掴まれた…」



「――っっ!!」



信じられないと頭では言うけれど。


信じたいと、心が叫んでいた。


「そン時工藤…泣いてて、マジびびったぜ……つか、これは工藤から服部には絶対ぇ言わねぇようにって約束させられたけど…まぁ、仕方ねぇだろ」



平次の名前を呼んで…?



手を…伸ばしてきて…?



泣いて、いた?




―― …俺を…求めてくれたんか…?




都合のよすぎる考えが頭をめぐる。


けれど、平次には言うなと言ったらしい新一は、この事実を隠したがっていて。


その理由は、きっと…… それが 真実だから ―――。



ガタンと大きな音を立ててバイクにまたがった平次は、すぐにエンジンをかけてメットを被った。


「スマン、宮城!俺、行かなアカンとこがあんねん!」


それだけで宮城には分かったのか、にっと笑みを浮かべた。


「ちゃんと仲直りしろよ?」

「やったるわ!」


言うが早いか、アクセルを全開にして走り出した。

久しぶりに平次の瞳に生気がともったことに気づいた宮城は、嬉しそうに笑ってその後ろ姿を見送った。










 











今日はみんな課題やらで忙しいらしく、飲みをする時間がないと言われた。

同じ講義を受けている新一は、とっくに済ませていたので一人暇になってしまったのだった。

家に帰ってすぐにベッドに仰向けに倒れると、天井を眺めながら苦しそうに息を吐き出した。

一人でいると、考えてしまう…。


―― …違ぇ、な…


一人じゃなくても、考えてしまうのだ。


考えずには、いられない。




と。その時。

新一の耳に聞こえてきたのは。

聞きなれた、エンジン音。


ガバッとベッドから勢いよく起き上がる。


幻聴だったらいいと思いながらベランダのカーテンを少し開けて、外の道路を見た瞬間、自分の目を疑った。

間違うことなど、ありはしない。



平次だ。



どうしたらいいのだろうか。平次の進行方向を考えると、間違いなく自分のマンションに向かっている。

今日はやっぱりどうにでもして飲み会をすればよかったと思った。


だって、逢えない。


逢ったら自分は何を言い出してしまうか、解らない。



と、カーテンから外を見ていた新一と、平次の眼が、合った。


―― っ!ヤバイ!!!


とっさに顔を背けてカーテンを閉めた。が、平次には新一がここにいることが分かってしまっただろう。

ドキドキと心臓が高鳴る。









程なくして、ピンポーンとチャイムが鳴った。それと同時に聞こえてくる、声。


「工藤!居るんやろ!開けろや!」


涙が、出るかと思った。

平次が話しかけてくれること…どんなに…どんなに夢見たか…。


けれど、ぐっとお腹に力を入れて耐え、居留守を決め込んだ。

自分はここにいない。だから、早く帰れと心の中で叫び続ける。

何度かチャイムを鳴らしていた平次だったが、新一が居留守を使うと決めたことに気づいたのか、ドアを叩き始めた。


「工藤!ええから、ここ開けろや!」


―― 帰れ、服部!俺はもう、お前に会えねぇんだよっ!!


さらに無視を続けていると、平次のため息がドア越しに聞こえてきた。


「……わーった…」


諦めを含んだその声に、新一の心は痛みと苦しみで暴れ始める。


「…せやったら、俺、ずーっとここに居るから…開けたくなったら開けてや」




―― へっ?




予想を反しすぎた平次の言葉に、新一は呆気にとられる。

そしてそっと外の様子をうかがってみると、平次は新一の部屋のドアに背中を預けて座り込んでいた。


本当に言葉通りずっと居続ける気なのだということは、悲しいけれどすぐに解ってしまった。


こうなった平次はとても頑固だから。




ポーカーフェイス ポーカーフェイス…、と頭で何度も呪文のように唱えながら呼吸を整えると、心を決めてロックを解除し、ゆっくりと扉を開けた。


「っ!くど…」

「…入れよ…んなトコいられっと、迷惑だろ…」


無愛想にそう言うと、新一はそのまま背を向けて奥へと歩き始めた。


「つか、何のよぅ…っ!?」



その、瞬間。



後ろから、力強い腕が伸びてきて……抱きしめ、られた…。



「っ!!??」



ビクッと体を震わせるのと同時に、背後でバタンとドアが閉まった音がした。


「工藤…めっちゃ、逢いたかった…」


吐息のように囁かれ、新一の鼓動は一気に高まった。

それを気づかれるわけにはいかなくて、慌てて抵抗した。


「は、なせっ!!」


腕を振り払おうとするも、抱き締める腕に力をこめられ、抵抗を封じられる。


「俺、工藤に嫌われてても……工藤の傍を離れること、できへんわ…」

「な、に…言って…」


「やっぱり嫌なんや!!工藤と離れてられへん!!何してても、何処おっても、工藤のことしか考えられへんねん!!お前を…愛してるんや…」


この気持ちを、どうやって新一に伝えればいいのか、解らない。


新一は、人を愛するということを、教えてくれた――。


それは、世界で一番 暖かい感情だった……。




平次は暖かいと、新一はよく笑って言っていたけれど。


本当に平次が暖かいというのなら。




その暖かさを与えてくれたのは…新一なのだ……。







夢を、見ているのかと、新一は本気で思った。

ひどい事を、たくさん言ったのに…それでも愛してくれている平次に抱きついてしまいたい。



けれど、やっぱりもう…戻れなかった。


顔を見られないのが幸いと、新一は必死に、極めて冷静な声を出した。


「俺、言っただろ?お前のこと、嫌いなんだって」


言った瞬間、頭も心も、どこもかしこも痛くて堪らない。


どうしてこんなことを言わせるのだろうか。



二度も…こんな酷いこと…言わせないで欲しかったのに…。



今すぐ逃げ出して。泣いてしまいたい。










「せやけど工藤…泣いてたんやろ…?」




「…っ!?」







ビクンと体が震えた。それは肯定しているのだと平次に言ったようなもので。


「スマン、宮城から、聞いた」


―― 〜〜っの、やろっ!!言わないって言ったのにっ!!


「俺の夢見て…俺を、呼んでくれたんやろ?」


―― っ―そう、だよっ!!!


何も答えようとしない新一に構わず、平次は言葉を続けていく。


「俺の推理は…工藤がワザと俺に嫌われようとして、あないな事言うたと思うとる……噂も、工藤が意図的に広めたっちゅーとこやろな…」


宮城から、まだ新一が平次を求めてくれているという事を聞いて考えたのは、新一の行動の理由。

どうしてあんなことを言ったのか。本当に別れたいだけならば、あんなに傷つくような言葉を言わなくてもいいはずで。

そしてふと考えついた、一つの可能性。


平次と離れることが平次のためになると、本気で信じこんで…別れようと、決意して…。

けれど新一は平次を嫌いになれないから…ワザと痛い言葉を並べて傷つけて…嫌われるような噂や態度をとった…。


それは7割ほどうぬぼれも入っていたのだが、新一が何も言えないところからみると、当たっているのだろう。


けれど。


「…せやけど、何で俺から離れなアカン思うたかて、それだけは、解らん…」


それだけが、解らない。


平次の世界は新一だけで出来ていると言っても過言ではないほど、新一が必要で。


それを新一も知ってくれていたはずなのに。


何故、あえて悪役になってまで…離れていこうとしたのか…。



「工藤のことやから何か考えがあったんやろうとも、思うけどっ…何で俺に何も言わんで勝手に決めてまうねん!!ホンマ、勝手や!!」



ズキン、と痛みが新一の体中に駆け巡る。

解っている。勝手だという事。

けれど、平次にそう言われたのがとても…痛くて。


新一の中で何かが弾けた。


「じゃあっ!!もう俺のことなんか、見限ればいい!!」

「っくど…」


驚いて力を緩めた一瞬の隙を突いて平次の腕から逃れると、キッと平次を睨みつけた。


「俺のことなんか見離して、他の奴と生きていけば、いいじゃねぇかっ!!」


そう聞いて、なんとなく、わかった気がする。

新一は、新一以外の人と平次が幸せになることを、望んでいたのだ、と。


けれどそれは…平次の中では、考えるまでもないこと。


ふっと頬を緩めて笑うと、じっと新一を見つめながら口を開いた。




「なぁ、工藤。工藤が俺と一緒に生きてくれへんかったら、俺は一生独りで生きていくで…?」


「…え…」





「一生、工藤のことだけを想って生きてくわ」





一生新一の面影を追いながら…。



とても苦しい一生を過ごすのだろう。




そう断言するように言う平次に、新一はカッとなって叫んだ。




「っ!…決め付けんなよっ!!」



「工藤!?」



本気で驚く平次に、悔しさがこみ上げてくる。



「お前には、これから先もっといい人が現れるかもしれねぇだろ!!お前がその気になれば彼女なんかすぐ出来るだろ!!そんな小せぇ視野で物事を考えんな!!」


どうして解らないのだろう?


平次には、無限の可能性があるではないか。


それは自分と一緒にいて。関係を隠し続けて。将来も何もない未来なんかじゃ、決してなくて。




「俺とじゃない未来も沢山あるっつーこと忘れんな!!お前はっ!幸せになれるんだから!!」




新一のことなど早く吹っ切って。

少ししたら忘れて…彼女を作って……結婚も、して。

子供が出来たころに、そういうこともあったなと思い出して笑えるように。

今度は新一のように平次の幸せ全てを奪う人間ではなく。

結婚や子供や…当たり前のように幸せを与えてくれる人と一緒になって。



笑って…くれたら…。















「…あらへんよ…」








ポツリと呟くように洩らした平次の言葉に、新一は思わず顔を上げて平次を見た。

平次は驚いた新一に苦笑すると、そっと新一の頬に触れる。



「解るんや……俺には工藤以外との未来なんかあらへんて…」


「なっ…」



否定しようと声を上げかけた新一よりも速く平次は言葉を紡いだ。



「工藤と一緒に居らな、幸せなんか見つからんわ…」



そう言う平次の苦しそうな、泣きそうな表情に、新一は息を呑んだ。



「これから死ぬまで長い時間、ずーっと工藤だけを想いながら…独りきりで過ごさなアカン」



新一以外、大切だと思える人間などできないだろうことは、確信だ。


忘れることなど、出来はしない。


離れられる、ワケがない。




大切な愛しい人のために何かできることがこんなに嬉しいなんて、知らなかった。

傍に居るだけで満たされることがあるなんて、知らなかった。

日に日に…一秒ごとに強くなる想いがあることなんて、知らなかった。

涙が出るくらい幸せな毎日を送ることができるなんて…知らなかった。



……『工藤新一』と…出逢う前は……。






「俺から工藤を奪る言うんは、そういうことやで?」



平次にとって新一は『全て』だから。

新一を奪われたら…平次に残るものは何もない。


寒くて。辛くて。痛くて。冷たくて。


もう二度と……笑うことなど出来ない……。



それでも生きていかなければならないなんて、何の拷問だろう。


「な、解ってくれへん?」


本当の幸せというモノは…自分が、誰かが生み出すものだと信じて疑わなかったけれど…。


それは少し違うのだと、知った。

















「俺の幸せは、工藤なんや…」

















幸せは、生み出すものでは、ない。


工藤新一そのものが、服部平次にとっての、幸せ…。



意見の相違もしょっちゅうだし、喧嘩もする。

けれど、それすらも幸せだと思わせてくれる人間が、新一なのだ。



新一とする喧嘩だから、幸せ。



新一とする全てのことが、幸せ。





「ばっ…か…野郎…」


耐える様にぐっと拳を握り締めたまま、新一の瞳からはボロボロと涙が零れた。


―― んなの…俺のセリフだろっ…


そんな新一を愛しそうに見やると、平次はそっと包み込むように新一を抱きしめる。


「なっ…んで…嫌いに、なってくんね…だよっ…俺っ…すげぇ、我慢、してっ…」


平次の幸せの、邪魔にならないように、と。

そう思っていたのに。


一緒にいることが、幸せだと想ってくれてるなんて。


「そーゆーのを、無駄な努力、言うんやで?俺から離れられるて、本気で思うたワケやないやろな?」

「っ…本気、だったっての…ばーろっ…」


―― お前の幸せのためなら…何でもしてやろうって…決めていたから…。


ぎゅうっと平次に抱きつきながら涙を流す新一に、平次は「アホやなぁ」と苦笑した。


「…そんで…工藤?…嫌い言うたの…取り消してくれへん?…俺、それ、めっちゃしんどいねん…」


そう言えばまだ前言撤回をしていないどころか、謝ってもいないことに気づいた新一は慌てた。


「ご、ごめんっ!服部!俺っ…」

「ごめん、は分かったで。その続きが聞きたいんやけど?」


新一はちゃんと平次の瞳を見ると、ありったけの想いを口にした。




「俺…お前が、好きだ…ずっと、絶対…服部しか、好きになれねーくらいっ…」




言葉は。



そこで熱いキスによって、遮られた。



ずっと、この熱いキスに飢えていた新一は、もっとと強請るように平次の頭を抱えた。

離れなくてもいいと言ってくれた事実を胸に抱いて、幸せを噛み締める。





幸せなキスの後、新一は思い切って胸の内を語ってみた。

本当にいいのだろうか?

後悔はしないのだろうか?

それはずっと、新一の心に燻ぶっていたこと。


「ていうか、俺…お前に何もやれねぇぞ…?…やれるモンなんかねぇし…」

「ん?やれるモンて…あぁ、工藤、そんなん気にしとったんか?」


クスクスと笑う平次に、新一は眉を顰めて真剣に言った。


「そんなってお前、大切なことだろ!」






「工藤、やろ?」






「へ?」


何が?と言う前に、平次の手が新一に回されて、腰のあたりでやんわりと抱きしめられる。










「俺に“工藤新一”、くれるんやろ?それだけで十分すぎるで」



「っ!!」










こうやって。平次は新一の悩みなんか簡単に解きほぐしてくれる。


嬉しくて、嬉しくて。


泣きそうな顔を隠すために、平次の首に腕をまわして抱きついた。




なんでこんなに幸せにしてくれるのだろうか、と、本気で思う。


「ホンマはな、俺かて工藤にはイロイロもろてんねんで?」

「え!?嘘だろ!?だって俺…」


何もしてないぞ?ただ傍にいただけだぞ?と言いかけた新一は、クスクスと笑っている平次に抱きしめられた。




「言うたやろ?俺の幸せはお前やて。工藤が居るから…幸せやて思えんねん…」




それは…自分が平次からもらっているような想いだと…信じていいのだろうか?

そうだったら…自分が平次にあんな嬉しい感情を与えてやれているのだとしたら…最高に、幸せだと思う。


そう想って、やっぱり平次は自分を幸せにしかしないと、心の中で笑った。



「俺、こーしとるだけで、めっちゃ幸せ感じてんねんで?絶対、工藤と一緒にこーして居れる俺が、宇宙一の幸せモンやんな♪」



平次のその言葉に、新一は思わず吹き出してしまった。


「?何でそこで笑うねん?」


不思議そうに見つめる平次に、まさか自分もそんなことを考えていたのだと言えずに、笑いながら頬にキスを送った。

そしてふと思い出したことを尋ねてみる。


「でも オマエ…子ども、欲しいんだろ?」


新一の言葉に、平次は首をかしげ、すぐに楽しそうに笑った。


「子どもぉ?…あぁ、俺と工藤の子どもやったら、めーーーっちゃ可愛ぇやろなて思うただけや♪」




「え…?…俺、との…?」




「せやで?俺と工藤の子やなかったら、欲しない………――って、くどーさん…?」


何やら嫌そうな表情をした平次に、新一の考えがバレてしまったことを悟った。


「…まさか、そんなんが理由とちゃうやろな?」



「……」



これ以上嘘もつけずに沈黙していると、大げさな程平次が脱力して新一の肩に額を置いた。


「う、そ…やろ…ホンマ信じられへん…そんなんであんだけ悩まされて……こないなことになるんやったら、子どもなんて好きやない言うとくんやった…」


本当に落ち込んでいるらしい平次に、新一は焦る。


「ご、ごめん、はっと…」

「許さへん!」

「ぅわっ!?」


謝るより前に、平次に抱きかかえられて運ばれ、ベッドにそっと落とされた。

そしてすぐに平次の体が覆いかぶさってきて、新一はベッドに縫い付けられる。


「誤解もええとこやで?絶対、許したらへん……と言いたいとこやけど…」

「?何…?」


区切りの悪いところで言葉を切ってしまった平次に首をかしげると、楽しそうな平次と目が合った。


「工藤、耳、かしてみ?」

「え?あ、うん?」


素直に平次の口元に耳を傾けると、特別優しい声が新一の脳を甘く溶かした。




「これからずっと、一緒の家で暮らしてくれたら…許したってもええで?」




「っ!」

「どや?」


ニヤニヤと意地悪そうに笑う平次に、新一は少しだけ言葉に詰まった後、思いっきり愛しい人に抱きついた。


「っ―― んなのっ…決まってんだろ!」





その後始まった深く、永いキスの後。






小さな声で。








新一は平次の耳元に、そっと囁いた。












































―――  …俺も、一生  お前と一緒に、暮らしたい……。






















〜 fin 〜
お待たせいたしましたっ!!
やっっっっと、完成でございますっ!!
リクを頂いてから早……早……(計算中)……ιι
とにかく、とても長い年月をかけてしまいましたιι
本当にお待たせしまして、申し訳ございませんιι
少しでも楽しんでいただけると、とってもとっても嬉しく思います♪♪

えとえと、今回のお話は15000を踏まれました にしもと様に捧げますvv
にしもとさんのリクは『別れ』でしたvv
『平次が子供が好きだと知って、自分では絶対与えてやれないからと平次のために別れを切り出す新一』を真心こめて書かせて頂きましたっvv
『ラストは平次が新一の不安な本心を知って、あまーい言葉で不安をとりのぞいてハッピーエンドvv』を目指して頑張らせて頂きましたっvv
そして長編をご希望、ということで…えーっと…本当にめっちゃ長編にしましたけど……いいんです…よね…(笑)
手が…その…止まらず…えっと…文章を纏める能力も…なく、ですね…その…ιι
いや、本当、すみませんでしたっ!!
次は、もっとマシになるよう、頑張りますっιι

…え
話が二人をイジメてるだけ、ですか
……うーん、そうかも…
あ、目に入ったら大変なんで、砂は投げ付けないでくださいっ
もっと普通の、そう、モダマとかにしてください(笑)

エート、無駄にエロくなっておりますのは私の趣味ですvv
やめようかとも思ったんですが、楽しくてvv(笑)
そして、二人を別れさせるのは、私としましても本気で泣きそうになりましたιι
お互いを忘れようとしているところとか、自分で書いてて「そんなんダメじゃああああ!!(方言含む/笑)」と叫び出しそうになりましたιι
けれど、大きな試練があってこその二人だと思っておりますので、楽しく書かせていただきましたvv
切ないストーリを書くのが本業(?)なので、ちょっとでも切ないと思って頂けたらいいなと思っておりますvv
長編は完結してから一気に読まれるとおっしゃっていたにしもと様の為に、今回は長編ながらいっぺんにUPしましたっvv
ええ、やったりましたよ、ふふふっ…vv
エンターの押しすぎで、右手小指が攣るかと思いましたよvv
保険入ってるから、ダイジョブですけど(笑)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございましたvv
そして素敵なリクエストをくださった にしもとさんvv
愛してますっvvvv(ヤメレ)
これからも頑張りたいと思いますので、よろしくおねがいいたしますねvv


どうか ほんの少しでも 貴女様のお心に届きますように-----vv


花蘭 でした
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