話したいことがあるのだ












言いたい言葉があるのだ














伝えたい気持ちがあるのだ




















君に告げる事ができるなら………














俺は何て幸せだろう―――

















伝えたい気持ち

〈最終話〉



俺がもし、人間の言葉が理解できない動物に生まれたとしても、俺は服部に恋したのだろうか…?


考え出すときりがない。 が……。


多分。絶対。どんな姿でも。


出会ってしまえば、恋をするだろう。




ふと見上げると、雪が、降り始めた。

この位の雪が東京で降ろうものなら、すぐに溶けて消えるだろう。


俺がもし、この雪だったら………



そこまで考えて、やっぱり笑った。


同じ事…だな。


たとえ小さな小さな雪だったとしても、溶けて水になって 服部の元へと行き着くんだろうな………






流石に何時間もいると、寒くなってきた。

新一は手を口に持っていき、息を吐いた。

そろそろ宿でも取ろうかと思って立ち上がった瞬間。






その声は、響いた。






「工藤!!」








聞き間違えるはずは、ない。





ずっと想っていた人。





「は……っとり……?」











振り返ると、紛れもない 平次がいた。









 










顔を見合わせて何も言わない時間がどれくらい経ったのだろうか。


いや、本当は短かったのかもしれない。しかし、お互い永遠のような時を感じていた。


ずっと逢いたかった人。思わず手を伸ばしそうになって、我に返った。


「何で……居んの、お前………」

新一の血の気が引くのが手にとるように分かる。

ここへ来た足取りも形跡も残さずに来たはずなのに……

今頃、平次は家の中で夕飯作ってんのかな…とまで思っていたのに…。

「っ〜〜んの、バカ!!」

新一は怒りのあまり、ポケットの中に入れていたカイロを平次に投げつけた。

「何でこんなトコまで来てんだよ!? 手紙! 読まなかったのか!? バッカじゃねぇの!?」

新一の手によって投げられたカイロは、平次には当たらず、雪に埋もれた。それを丁寧に拾い上げながら、平次は言った。

「そないにバカバカ言わんといて。 …手紙はちゃんと読んだで」

「じゃあなんでいるんだよ!?」

「せやかて……」


新一にどうしても逢いたくて………体が動いていた……


どうやって新一に伝えようか考えていると、また新一が怒鳴った。


「俺、大丈夫だって書いただろ!?探すなとも書いた!!それとも まだ俺に想われてそうで嫌だったのか!?だから、一年経ったら忘れられるとも書いただろ!?」


混乱の所為で、めちゃくちゃなことを言っていと自分でも分かっている。


「工藤…」


一年経ったら諦めれると…忘れられると想っていた。



頑張って、忘れるつもりだった。



なのにどうして後なんか追って来るんだよ!!


どうして……





どうして忘れさせてくれないのだろう……












「それとも、もう戻って来るなって言いに来たのかよ!?友達にも戻れねぇのか!?戻っちゃいけねぇのかよ!?」



















瞬間。

















新一の身体は暖かい何かで包まれた。




















平次に抱きしめられているということに気付いたのは少し後だった。














「……友達でなんて……おられへん……」










「服部…?」









「友達なんて……やってられへんわ……」









今友達に戻ろうなんていわれても、平次には無理な注文だった。





こんなにも新一が愛しくて……







こんなにも新一だけしか見えないのに……















「………解った……離せよ、服部……」

平次が言ったその言葉をおそらくは勘違いしたのであろう。

新一は悔しそうに唇をかんで、平次から離れようとした。


「嫌や……工藤は何も解ってへんやろ……」


平次は抱きしめる腕にいっそう力を込めた。


「何が解ってねぇんだよ!!もう解ったって言ってんだろ!!いいから、離せよ!! はっと… 」



言い終わる前に、唇を塞ぐ。



強く、強く抱きしめながら、平次は新一に深いキスを落とした。


「 ん…っ!?」


今何を言っても新一に少しも伝わる気がしなかったので、平次は自分の気持ちを込めて新一にキスをした。



工藤………俺ん気持ち…… 解って…?







お前が……





工藤ん事が…… 



















愛しい………






















久し振りのキスに平次は本気で溺れた。触れている唇が紛れもなく新一のものだと感じるだけで、胸が高鳴るのを抑えきれない。


平次は力いっぱい抱きしめたまま、新一を感じた。



「ふっ…… んんっ!」


苦しそうに眉間に皺を寄せる新一を見て我に返った平次は、唇を離し、少し力を緩めてやる。新一は息が上がったまま、瞳を見開いて平次を見た。



「 な…んで…? だって……服部…は…… 」


「 …まだ 解らんのか?」



低く囁くと、平次は再び新一の唇を塞いだ。





唇から伝わる、熱い想い。


頭の中が混乱する。これは決して夢でも何でもなくて。


そんな事を考えていると、平次が角度を変えてキスを落としてきた。



熱い……服部の……本当の心………





初めて感じる…… 服部の… 本気……









…………もう……どうなっても………いい………









どのくらいそうしていただろうか、新一の身体から力が抜けるのが解った。唇をそっと離してやると、吐息が漏れる。





「…っとり……」



「……忘れんなや……」



「…え…?」



「……俺ん事、忘れるなんて許さんで…」






「………それ…て…」








新一の見開かれた大きな瞳に少しずつ涙がたまっていく。


その瞳に軽くキスをすると、再び新一を甘く掻き抱いた。
















「………工藤が……… 好きや………! 」

















瞬間、新一の瞳からは涙があふれ出た












「 お前の事…… 愛しとる………」


















「っ…… とりっ… 」


















新一は平次にしがみ付いた



















「っとり……俺もっ……」















お前の事………どうしようもないくらい………
































その後の言葉は平次の唇によって塞がれた。












舞い降りてくる雪の中、二人はお互いの心を確かめ合った





 






帰りの飛行機の中、少し外が明るくなっているのに気付いた新一は目を覚ました


「……ん…」


「…工藤…?起きたんか…?」


すぐ近くに平次の顔がある。

ゆっくりと手を伸ばすと、平次はすぐにその手をとった。

「… なんか…夢みてぇ…」

うとうとしながらそう言うと、平次は優しい顔で微笑んだ。

「あほやな。夢とちゃうよ」

「……うん…」


手の届く場所に平次が居る。

そのことが新一にとって本当に幸せで……


幸せで………


じっと平次を見ていると、ゆっくりと額にキスが降ってきた。

「工藤、好きやで」

「…ん」

「めっちゃ、好きや」

「…うん」


「工藤」


「 どした?」


新一は平次の大好きな顔で笑った。


「いや、ほんま幸せやな思て」


「うん。俺も…」



二人は互いに見詰め合って笑い、そしてキスをした











話したいことがあるのだ














言いたい言葉があるのだ














伝えたい気持ちがあるのだ




















君に告げる事ができる俺は………












何て幸せ―――……











〜 fin 〜
「伝えたい気持ち」最終話です♪最後まで読んでくださってありがとうございましたvv
いかがでしたでしょうか??
まぁ自分でも「どないやねん」って思うことはありますが、初の平新小説なので思い入れがたっぷりとありますvv
時間をかけ、思いを込めた作品です
感想などいただけると踊り狂いながら喜びますvv(←芸が細かい/笑)
では、また〜vv


どうか 貴方の心に届きますように-----vv
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