伝えたい気持ち

〈7〉



居らん……



平次は朝早くから大学に着き、新一が来るのを待っていた。家の前で待とうかとも思ったが、逃げられたら元も子もない。

結局大学に朝一で到着して新一を待ち構えていたのだが、その新一が何時になっても来ないのである。2限目は必修だったから必ず来ると思っていたのだが、それにさえ顔を見せない。


避けられているのかと思った平次は、新一を探し回ったのだが、一向に見つからない。


少々落ち込んできた。


その時、一人の悪友が声を掛けてきた。

「よお、服部!」

「ああ、川崎か…」

「どうした?何か元気なくねぇか?」

「…んな事あらへんわ」

そう言ってみるものの、新一と会えないのがこんなにも辛い。

そのことに最初は驚いたが、すぐに納得した。


避けられとった時かて、めっちゃ辛かったやんか…


なして気付かんかったんやろ………


「…そっか……ならいいけど…」

どう見ても平次は元気がないが、付き合い上、聞いてほしくない事だろうと判断した川崎は、とりあえずそう言った。

「なぁ、工藤知らんか?」

「へ?」

平次が元気ないので何か色々考え事をしていたのであろう川崎は、突然の平次の質問に驚いた。

「探したんやけど、居ぃひんねん」

「ちょ、ちょっと待て!何?服部、お前知らねぇの?」

驚いて待ったを掛ける川崎を不審に想い、眉を顰めて聞いた。


「何をや?」


「工藤は昨日休学届け出したんだぜ?」


「え…?」


途端に頭が真っ白になり、何も考えられなくなる。

「何でも、一年は休むとか言ってたぜ。理由も聞いたんだけど、笑って誤魔化されたよ」



工藤が……おらんようになる………?



「服部なら理由知ってるのかと思ったけど……本当に何も知らねぇのか?」



そ……か………

あん時の別れの言葉は………こういう意味もあったんか………


上手く呼吸が出来ない……息が…心が……苦しい………


俺の……所為や……!!




顔を上げた平次は勢い良く川崎に言った。

「川崎!俺ちょお帰るわ!」

「へ?何で?」

「急用や!じゃあな!」


わけの分からない顔をしながら何かを言いかけていた川崎を置いて、服部は走ってバイクの駐車場へ向かった。





 






もう一度新一の声が聞きたい。顔が見たい。




笑って………欲しい――――…











平次は新一を探しに行こうと思い、ふと手持ちが少ないのを思い出した。一端家へ帰ってからの方がいいだろうと思い、急いでバイクを家へと向けた。

ヘルメットを外す時間も惜しくて、走りながらヘルメットを脱ぐ。

鍵を開けようとしたとき、ふと平次の目に一通の郵便が飛び込んできた。

放っておこうと思ったが、考えてみると今は郵便が届く時間帯ではない。ということは……

まさかと思いながらその郵便を手にとった。あて先も送り主も何も書いていない便せん。

これは、直接ここに来たと言う事で…

急いで開けて中を確かめると、そこには見慣れた字が並んでいた。


「やっぱり、工藤や!」

心は焦るものの、深呼吸をして文字を辿る。











服部へ



  あの夜はごめんな…怒鳴りちらしてさ………

こんな手紙書くの女々しいと思うけど、許してくれよな。



  俺、当分大学休む事にした

でも、これは全然お前の所為とかじゃないからな!?

絶対気にすんなよな!!

お前、気にしやすいから、俺のこと探そうとか思ってそうだし…



  一年もしたらさ、

多分 俺 お前の事諦められると思うし

服部にとっても

俺が傍にいないほうがいいからな



  俺は大丈夫だから

お前はお前の事 考えろよな?

じゃあな、服部

元気でな―――



                          工藤 新一








読み終えた平次はきつく唇を噛んだ。




「……何が……大丈夫やねん………・・  俺は…平気ちゃうわ……」



一年も逢えなかったら… きっと気が狂ってしまう……。


新一からの手紙をぎゅっと掴んだ平次は、きっと目を上げた。


絶対探し出したる!!

何処に逃げようと、絶対逃がさへんからな!!


覚悟しとけや、工藤!



言いたい事があんのや!!





新ちゃん夜逃げ(笑)
でもまぁ近くにいたら諦めようと思っても簡単にできるもんでもないですし。
何より、辛いと思います。
平ちゃんは行動開始。頑張って新ちゃんを追いかけろよ〜

それでは、また
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