謎が ……





謎でなくなる 瞬間 ―――









謎解き

Final





平次が全速力で走ると、すぐに新一の後姿を捉えるに至った。

もともと平次と新一では体付きからして違う。最初から勝負になどならないのだ。



ぐんぐん新一に追いつくと、平次はぐいっとその腕を掴んだ。






「っ!」

「工藤!逃げんでもええやろが!!」


いきなり逃げ出された怒りを隠すことなく、新一にぶつける。

そんな平次に驚いたように目を見開いたが、新一も負けじと平次を睨んだ。


「お、お前っ!!俺は近づくなって言っただろ!!」

「じゃかあし!そんなんもう聞かんで!俺はやりたいようにやるて決めたんや!」


その言葉に絶句している隙に、平次は新一の両腕を掴んで逃がさないように力をこめる。

ぐいっと軽い新一の身体を引き寄せると、平次は新一の耳元に唇を寄せた。


「昨日…俺が工藤にキスしたんは…」


熱っぽく囁く平次に、新一は最後の抵抗とばかりにぶんぶんと首を振って聞かないようにする。


本当は聞きたいと思うけれど。


どうしても、聞きたくない心があって。


何故だか、聞いてはいけない気がして…。



「アカン!これだけは聞いてもらうで!!」


いつもなら新一の嫌がることなどしないところだが、今はそうは言っていられない。

片方の腕を放すとその手で新一の腰を強引に抱き寄せて身動きを封じる。




「はなっ…」









「…好きや…」









狂おしいほどの想いを、ようやく口にする。





意味を理解できないほど馬鹿ではない新一はその言葉に抵抗を忘れて驚愕に目を見開いている。

そんな新一の頬にキスを一つ送ると、再び耳元で囁く。





「…好きや…工藤が…好きなんや…」





だから…新一の全部が…欲しい……。








力が抜けた新一の身体を強く抱きしめると、そのまま唇へソレを重ねていった。



ゆっくりと新一の口内を侵していく。





味わうように。





愛おしむように…。







長い時間キスをしてから、離れると、新一は潤んだ瞳で平次を見上げていた。


―― アカン!その顔、腰にくるっちゅーねん!!


新一の可愛さにくらくらとする頭を抑えながら、再び唇を重ねようとしたとき、新一が弾けたように我に返った。


「っや、やめろっ!!」

「…俺んこと、嫌いなんか?キス、嫌やった?」


抱きしめる力は変わらずにそう問いかけると、新一は言葉につまり、視線を彷徨わせた。

言いたいけれど、言ってしまうのが怖い。そんな表情だった。


「顔見たないほど、嫌か?」


その問いを投げかけた瞬間、新一は関を切ったように叫んだ。


「俺っ、おかしいんだ!!」

「は?何がやねん?」


考えていた返答とは違うものが返ってきて、平次は素っ頓狂な声を出す。

首をかしげる平次に、新一は真っ赤になりながらもどうにか言葉を続けた。


「俺っ、服部が気になるんだよっ!!何かお前の仕草とか…とにかく全部、見ててドキドキするしっ!!」


気がつくと見ている。見ずにはいられない、人。


触りたいのに、触ったらドキドキして落ち着かない。心臓が壊れてしまうかもしれないほどの、胸の高鳴り。


「そ、れに…きっ……キスしたい、とか…思っちまうしっ…」


見ていたら触れたくなる。


触れたくなったら…キスも、したくなる…。


全てを独り占めしたくてたまらない。


苦しいと思っても傍に居ずにはいられなくて。


平次の行動一つで、涙が出そうなほど嬉しくなったり、焼き切れそうなほど切なくなったりする。



「とにかく、おかしいんだ!!近寄ったら移っちまうかもしれねぇだろ!!だから治るまで俺に近づく、な…」

力説している新一の言葉を静かに聞いていたはずの平次だったが、耐え切れないとでも言うように噴き出した。

笑うところではないと思うのに、とても楽しそうに笑う平次に、新一は何だか気が殺がれてしまう。



いつまでたっても笑い終えず苦しいと言いながらも更に笑う平次に、新一は痺れを切らして声を掛ける。


「は、服部…?」


小さな声で平次を呼ぶと、嬉しそうに笑う平次と視線が絡み合う。

すぐに平次からの抱擁が与えられ、新一は再び平次の腕の中に収まる形となる。


「あんなぁ、工藤…それ、愛の告白やで?」






平次の言葉の意味を5秒ほど考えた新一は驚いたように声を上げた。






「…はぁっ!?」



「ほーかほーか!工藤は俺んことめっちゃ好きやってんな!」






自分が?平次を?










…好き…?










瞬間、ボンッと爆発したように新一の顔が赤く染まった。


「何や、そないなことで悩んどったんかいな」


楽しそうに、しかし可笑しそうにそういう平次に、新一は眉を顰めた。


「そ、そんなことって、てめっ…」


新一は自分があれだけ悩んで悩んで悩んできたことをそんなことだという平次に怒りを露にする。

夜も眠れないほど悩んだことを知らないからそんなことが言えるのだ、と言ってやろうと思うが、平次にチュッと与えられた軽いキスで新一は口を閉じて真っ赤になる。

そんな新一を平次は愛しそうに見やり、頬に手を掛けた。





「工藤の想うてるそれはな、俺のことが好きやっちゅーこっちゃで!」





新一の瞳が驚きで丸くなる。







それは、新一でもなく。








シャーロック・ホームズでも、ない。













答えは… 平次が、もっていたのだ……。














「どや?解ったか?」


ニコニコと嬉しそうに笑う平次に、新一は一旦口を開くがすぐに閉じて小さく頷いた。

するとご褒美とばかりに少し強めの力で抱きしめられた。


「俺も、工藤のことめっちゃ好きやで。工藤は?」

「っ!!」


新一にもソレを言わせようという巧みな言葉選びだ。

反抗しようと思えばできたけど、とても待ちわびたような顔を平次がするから。


「…好き、だ…」


平次の一番望む言葉を言ってやる。






と、その言葉を口にした途端、新一の心の中でトクンと何かが音を立てた。



それはすぐにドクドクと忙しないものになっていき、新一はようやく自覚した。




「…服部が、好きだ…俺…すっげぇ、好き、みてぇ…」




ニッコリと笑ってそう言うと、頬を染めたまま新一は平次の首に腕を回して自らキスをした。

すぐに平次のリードにより深くなる口付けに幸せを感じる。








しばらく抱き合って口付けを交わしていた二人がそっと離れると、平次が感極まったように言った。


「…めっちゃ…嬉しいわ…」


ぎゅううと苦しいほど抱きしめられた新一は、くすくすと笑いながら平次の頭を撫でてやる。


「…俺も…」




と、その瞬間、平次は新一の腕を掴んで足早に歩き始めた。


「行くで!」


甘い雰囲気がいきなり消えたことに付いていけない新一は、ざかざかと前を進む平次に声をかけずにはいられなかった。


「ちょ、行くって、どこへ!?」


そう尋ねると、今度はピタリと平次は止まる。

急に止まったので新一は平次の背中に顔をしたたかぶつけてしまったのだが、今は平次のおかしな行動が気に掛かっていてそれどころではない。


「工藤は俺が教えたらな、何も解らへんみたいやからな〜」


平次はそう言うと、意地の悪い笑みを浮かべながらゆっくりと振り向いた。

何だか嫌な予感がした新一が一歩退こうとしたその腰を平次に優雅に浚われて、耳元で囁かれる。






「せやから、キスの続き、教えたる」






その意味に顔を真っ赤にさせた新一にキスを一つ落とすと、平次は再び急ぎ足で歩き始めた。



そして、それから次の日になるまでの約12時間、新一は嫌というほど平次からキスの続きを教わったという。













〜 fin 〜


ちょっとギャグ風味を入れてみました〜vv(え?入ってない?失礼しました/笑)
とにかく、何だか突発的に書きたくなって3時間で書き上げましたvv
(けれど仕上げにいつもの倍時間がかかりましたιι)
奇跡です!!(笑)
あ〜、いつもこうであってくれないかなぁιι(無理)

次の作品もめいっぱい頑張りますvv
読んでくださって本当にありがとうございました〜vv
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