追いかけて 追いかけて  追いかけて ―――。




どんなに疲れ果てても。


追いつけないと理解しても。






服部の後ろ姿を見るだけで








俺の足は また 服部を追いかけてしまう――。















Century Lovers

Vol.1




『ほんなら、後10分くらいで着くと思うから、待っといてや?堪忍な?』


走りながら電話しているのか、電話越しでも、そう言う平次の息が少しだけ上がっているのが分かった。


今日は俺、工藤新一と電話の相手、服部平次は二人で遊ぶ約束をしていた。いわゆる…その…デート、ってやつ、だ。

俺と服部は付き合っている…ようなものだ。

今、約束の場所にいるのは俺一人。

服部はというと、恩のある先輩に急な呼び出しをされてしまい、少しの時間で済むだろうと先輩のところに向かったところ、予想が外れて待ち合わせ時間に遅れてしまった。らしい。

あまりに服部らしすぎて、ふ、と笑ってしまう。

「うん、解った。あ、服部…」

“遅くなっていいから無理せずに気をつけろよな”と続けようとしたとき、平次の声が一足先に新一の言葉をさえぎった。

『わぁっとる。遅なってもええから気ぃつけて来い、やろ?』

言おうとしたことを的確に言い当てられ、新一は思わず口篭もってしまう。



どうして分かっちまうんだろうな…。




どうして……解ってくれるんだろう…。




小さな事も本当に嬉しくて。

だけど平次は分かったと言いながらも時間に遅れた自分が悪いと出来る限り急いで来てくれる。

だから少しでも無理しないように、と。小さな嘘を、吐く。


「……ほんと、俺、さっき着いたところだし、気にしなくていいから、な?」

気遣うように言うと、電話の向こうで平次が無言になった。


もしかして自分の嘘がバレてるんじゃないかと不安になる。

そんな事、ありはしない。バレる訳、ないんだから。

自分の表情も。この嘘がバレないかとドキドキしていることも。電話では何一つ伝わらないのだから。


『……わぁった。そんじゃ、後でな』

少しの沈黙の後、平次が仕方が無いとでもいうかのように了承した。そして電話は切れた。



新一は携帯電話を閉じてポケットにしまうと、胸の鼓動を押さえるために深呼吸を繰り返す。

電話なんか何回もしているはずなのに、未だに慣れない。

電話越しでも平次の声を聞くだけで、自分の心臓は踊り狂ったようにドキドキしてしまう。

その電話のたびに平次が好きだということを思い知らされる。

でも浮かれることなどできない。

新一は付き合ってもらっているということを忘れないように、頭の中でその言葉を何度も繰り返した。


そう、俺は今、付き合って『もらって』いる。

世間で言う、お試し期間というやつなのだ―――。










 











服部平次という人間を意識したのは、いったいどのくらい前だっただろうか。


そんなことも解らないほど、いつの間にか自然と新一の心の中に住みついてしまっていた。

たまたま東京の同じ大学を受験し、二人とも合格を果たした。

コナンだった頃からの付き合いだったので、お互い連絡を取り合うことは不思議ではなかったし、平次が東京に引っ越してくると聞き、それを手伝ったり、大学が始まるまで二人で色んなところへ赴いて遊んだりもした。

二人が住んでいるところもさほど離れていなかったし、大学が始まっても同じ講義を多く選んでいたので前よりずっと一緒にいることも多くなった。




そして、突然の自覚――。




自分は服部平次が好きなんだと。


突然だけど自然に納得して、自覚した。


そこから想いが本当に急速に成長していって。止まることなどなくて。


今なお成長しつづける心。


平次の態度に一喜一憂してみたり右往左往してみたり、自分でも何やってんだと思ったりもした。

でもそんな日々もかけがえのないもので。


そんな毎日がとても大切で。些細なことがとても嬉しくて。…とても愛しくて。

自分の中でだけ大切に、大切にしまっておく。誰にも漏らさず。自分の心の奥の奥に秘めておく。

一生…そんな風に生きていくのだと、思っていた。







しかし、『それ』はいつものように大学の講義を終え、一緒に帰宅していたときに…崩れた。


それは新一にとっていきなりの『不変』の崩壊だった。










 











「…なぁ、工藤…」

「ん?」

呼ばれて平次を見ると、珍しいことに平次が言いよどんでいた。

言いたいことがあって呼びとめたものの、それを言おうかどうか悩んでいるのだろう。

いつになく歯切れが悪い。


「……えーと、やなぁ…」


多分、言いにくいことなのだろう。平次がここまで焦らすのも珍しい。

「何だよ、早く言えよ?」

何言ったって大丈夫だからという意味をこめて、少しだけ促すように自分から聞いてみる。

「いや、こーゆーの俺が言うて何やおかしい思うんやけどな…?」

それでもまだ歯切れが悪く、本題を言おうとしない。

「うん?」

不思議そうに平次を見ると、平次はバツが悪そうに頭を掻いて天を仰いだ。それからゆっくりと息を吐き出すと新一に向き直った。



「…工藤って………」



服部がつむぎ出した次の言葉に、新一の頭は真っ白になった。


















「……俺のこと、好きなんちゃう?…そぉいう、意味で」















どんな終わり方やねん!!というツッコミはご遠慮くださいませιι
この話はもともとずっと温めていたものだったのです。それを形にしたいと思い、この話を書いたわけですがι1話1話区切るということをせずに書いたので、ちょうどよい区切りがかなり後ろの方になってしまいましてιιそれを無理矢理区切ったらこうなった…ということですιι
文才が欲しいです(;△;)
とりあえず、この話はまだ続きますv私としては中編くらいでおさめたいかなと A^-^;)では、ぜひぜひもうしばらくお付き合いくださいませvv
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